ドライマウス治療について
ドライマウスとは
ドライマウスは口腔乾燥症とも呼ばれおり、その名の通り、口の中が乾燥してしまう状態をいいます。近年増え続けている現代病の一つだとも言え、特に女性に多い傾向があります。唾液腺から分泌される平均的な唾液の量は1日あたり約1~1.5リットルであるが、さまざまな原因によって唾液の分泌が減ると、口の中の湿潤度が減少し、乾燥するようになる。唾液が不足することにより、唾液の抗菌作用や自浄作用が低下し、むし歯や歯周病になりやすくなるほか、口臭や粘膜の感染症、味覚障害、嚥下障害などを起こすこともある。薬の副作用やストレス、噛む力の低下などによって起こる症状で、患者数は増加傾向にある
ドライマウスの原因
ドライマウスは歳をとると起こることが多いことから「加齢現象」として、あきらめられがちですが、実は生活習慣も大きく関係していると言われています。
例えば次のような多くのことが原因になっていると考えられています。
・過剰なストレス
人はストレス状態になると、自律神経の働きにより唾液の分泌が抑制され、お口の中が乾燥してしまいます。
・喫煙・アルコール、カフェインの摂りすぎ
タバコを吸うと、自律神経の働きにより唾液の分泌が低下し、口の中が乾きます。また、アルコールの過飲やカフェインの撮りすぎても、口の中が乾いてしまいます。
・口呼吸
口呼吸は唾液の分泌が減るというよりも、口で呼吸をすることで口の中が乾いてしまうことで起こります。鼻炎などが原因で口呼吸をしていると、口が乾きドライマウスとなります。
・会話の減少
スマホ、パソコンなどでコミニュケーションを取る人が増え、会話をすることが少なくなっています。喋らないと口の筋肉が使われず、唾液が出にくくなります。歌を歌うことも効果的です。
・その他
薬の副作用、病気の影響、加齢現象などがあります。
ドライマウスの症状
乾燥によって口の中がねばついたり、ヒリヒリとした痛みを感じたり、歯垢がたまりやすくなり口臭も強くなる。食べ物を飲み込みにくくなる、声を出しにくくなる、味を感じにくくなる、舌がひび割れてくるなど日常生活にも支障が出る。また、口の中の自浄作用や抗菌作用が弱まるため、むし歯や歯周病にかかりやすくな、感染症を起こしやすくなる。特にカビの一種であるカンジダ菌が増殖し、口の中に白斑が出現する。
ドライマウスの検査・診断
口の渇きの程度や症状、治療中の病気、服用している薬などの問診と、口腔内の乾燥状態や炎症の有無などを診ます。その後、決められた時間でどのくらい唾液が出るかを測定する検査を行います。日本では、唾液量の検査にガムテスト(ガムをかみながら出た唾液量を測るガムテスト)や、サクソンテスト(ガーゼを噛んで吸収された唾液量を測る)などが用いられることが多いですが、ガムの種類やガーゼの種類によるよるばらつきが大きいため当院ではこれらの方法は採用していません。当院では、EUのESSDAI(EULAR Sjögren’s Syndrome Disease Activity Index)に定められた安静時唾液採取法を用いて、ドライマウスを診断しています。
シェーグレン症候群が疑われる場合は、血液検査や唾液腺の生検、眼科医や膠原病専門医との連携を行っています。
自分でできるドライマウスの対策法
唾液が出やすくなる習慣作りと乾燥対策を心がける。食事を規則正しく摂り、しっかりとかむことで唾液の分泌が促されます。
・・リラックスする時間をとる(ストレスは唾液分泌を阻害します)
・鼻呼吸を心がける(2次的に口が乾きにくくなる)
・部屋の中を乾燥させすぎない(洗濯物を干したり、加湿器を使う)
・なガムをよくかむ(唾液腺が刺激されて唾液が出やすくなる)
・レモンや梅干しなどを摂取する
・唾液腺をマッサージする
ドライマウスが改善しない場合
ドライマウスは日常生活の改善で克服できるものが大半ですが、なかなか改善しない場合もあります。加齢に伴う唾液腺の衰えや全身疾患に起因する場合や、服用薬の副作用等の場合は、対処方法が違ってきます。眼科医や膠原病専門医との連携や服用薬の変更などが必要になります。